てんかん発作の医学的な知識

📚目次

  1. てんかんとは?(種類)

  2. てんかんの症状

  3. 病院での検査・診断

  4. 一般的な対処法

  5. まとめ

※とても大切なこと

てんかんとは?

てんかんとは、脳の神経細胞(ニューロン)の過剰な電気的興奮により、発作を繰り返す慢性的な疾患です。

通常、脳内では興奮性(グルタミン酸系)と抑制性(GABA系)のバランスが保ちながら、神経細胞同士が電気的な信号をやり取りすることで、運動・感覚・意識・感情などを統合しています。
このバランスが崩れることで異常放電が生じ、発作として現れます。

主な分類(国際抗てんかん連盟:ILAE分類)

① 発作型による分類

● 全般発作(Generalized seizures)
脳全体に同時に異常放電が広がるタイプ

・強直間代発作(いわゆる大発作)
・欠神発作(数秒間の意識消失)
・ミオクロニー発作(瞬間的な筋収縮)
・脱力発作(突然力が抜ける)

● 焦点発作(Focal seizures)
脳の一部から発作が始まるタイプ

・意識保持焦点発作(旧:単純部分発作)
・意識障害焦点発作(旧:複雑部分発作)
・二次性全般化発作(部分発作から全身へ広がる)

② 原因による分類

・構造的要因:脳腫瘍、外傷、脳血管障害など
遺伝的要因:イオンチャネル異常など
感染性:脳炎、髄膜炎など
代謝性:低血糖、電解質異常など
免疫性:自己免疫性脳炎など
原因不明(特発性)


てんかんの症状

症状は発作の型と発生部位により大きく異なります。

主な症状

・全身けいれん(強直・間代)
・意識消失
・一点凝視
・反応低下
・自動症(口をもぐもぐする、手を動かすなど)
・感覚異常(異臭、異音、既視感・未視感)
・自律神経症状(発汗、動悸、吐き気)

前兆(前駆症状・オーラ)

一部の焦点発作では、発作前に以下のような前兆が現れることがあります。

・胃の不快感(上腹部からこみ上げる感覚)
・強い不安感や恐怖感
・においや音の異常知覚
・見慣れた風景が異様に感じる(既視感)

これは発作の開始部位(側頭葉など)に関連します。

病院での検査・診断

てんかんの診断は、単一の検査で確定するものではなく、複数の情報を統合して行われます。

① 脳波検査(EEG)

・発作間欠期のてんかん性放電(棘波・鋭波)を検出
・長時間ビデオ脳波モニタリングで発作との対応を確認
・過呼吸・光刺激による誘発試験

② 画像検査

・MRI(特に高解像度):皮質形成異常、海馬硬化、腫瘍などの検出
CT:急性病変や出血の評価

③ 機能的検査(必要に応じて)

・PET(糖代謝低下部位の評価)
・SPECT(発作時の血流変化)

④ 血液検査

・電解質異常(Na, Caなど)
・血糖値
・肝・腎機能(薬剤選択にも重要)

⑤ 鑑別診断

てんかんと似た症状を示す以下の疾患との区別が重要です。

・失神(血圧低下による)
・心因性非てんかん発作(PNES)
・不整脈
・一過性脳虚血発作(TIA)

一般的な対処法

① 薬物療法(第一選択)

抗てんかん薬(AED)により神経の過剰興奮を抑制します。

主な作用機序:

・Naチャネル遮断(カルバマゼピンなど)
・Caチャネル調整(エトスクシミドなど)
・GABA作用増強(バルプロ酸など)

約70%の患者で発作はコントロール可能とされています。

② 外科的治療

薬剤抵抗性てんかんに対して検討されます。

・焦点切除術(側頭葉切除など)
・迷走神経刺激療法(VNS)
・深部脳刺激(DBS)

③ 生活管理

・睡眠不足の回避(発作誘因として重要)
・ストレス管理
・アルコール制限
・光刺激の回避(光過敏性てんかん)

まとめ

てんかんは、
脳内の神経活動のバランスが崩れることで、
発作を繰り返す慢性的な疾患です。

その背景には、
構造的・遺伝的・代謝的・免疫的要因など、
複数の要素が関与しており、
一つの原因だけで説明できるものではありません。

発作の現れ方は多様で、
全身のけいれんのように明確なものから、
短時間の意識の途切れや感覚の異常といった
外から分かりにくいものまで含まれます。

そのため診断は、
脳波や画像検査に加え、
実際の発作の経過や状況を含めて総合的に判断されます。

治療の中心は
抗てんかん薬による神経の過剰興奮の抑制であり、
多くの場合、適切な薬物療法によって発作のコントロールが可能です。

薬剤で十分な効果が得られない場合には、
外科的治療や神経調節療法といった選択肢も検討されます。

あわせて、
睡眠やストレスといった
日常的な要因の管理も、
重要な柱となります。

////////// ここからが、とても大切 //////////

とくに見落とされやすいのが、
発作そのものが新たな負荷を生むという側面です。

発作への恐れや不安は、
睡眠の質を低下させ、
慢性的な緊張状態をつくります。

睡眠不足や持続するストレスは、
自律神経や脳の興奮性に影響し、
神経系をより過敏な状態へと傾けていきます。

その結果、

・小さな刺激でも反応しやすくなる
・発作の閾値が下がる
・発作の頻度や強さが増す

といった流れが生まれることがあります。

さらに言えば、

こうしたストレスや緊張の積み重なりそのものが、
発作の背景として関与している可能性も否定できません。

てんかんは「発作」という一点だけで捉えるものではなく、

・神経系の状態
・生活のリズム
・心理的な緊張
・そして、身体の状態

このような複数の要素が重なり合う中で現れます。

だからこそ、

発作を抑えるための医学的なアプローチに加えて、
☆身体が過剰な興奮状態に傾き続けないよう整えていくこと

この両方が重要になります。

発作と、それを取り巻く状態の循環に気づき、
少しずつでもその流れを緩めていくこと。

それが結果として、安定した状態へとつながっていきます。

梛 治療院